古くから交易で栄えたライン河畔の街、ケルン。
その中央駅に降り立つと目の前に巨大な大聖堂がそびえ、高さおよそ157mの天を突く双塔に圧倒されます。
13世紀の着工から完成までに、なんと600年余りを費やしたこの大聖堂には、東方三博士の聖遺物が納められています。
司教座が置かれたケルンの聖堂は9世紀に建て替えられ、12世紀には東方三博士の聖遺物(遺骨)が安置されました。
東方三博士とは、イエスの誕生時に星に導かれ、幼子のイエスを拝んだとされる3人のことです。
その聖なる遺骨を見ようと、ヨーロッパ中から巡礼者が訪れるようになりましたが、1,248年にゴシック様式の
大聖堂が建築されることになった矢先、聖堂は火災で焼失。
同年に再建工事が始まりますが、資金難などで300年近く中断を余儀なくされ、ようやく1,880年に完成をみました。
精緻な彫刻で装飾された2本の尖塔が天空へと伸び、西正面扉口中央には「旧約聖書」の一場面の浮き彫りが
施され、高さ約43mを超えるリブ・ヴォールトの円天井と尖頭アーチの聖堂内は、巡礼者を天上へ導くかのようです。
大きな窓にはめ込まれたステンドグラスから差し込む神々しい光に満たされ、奥の主祭壇では東方三博士の
聖遺物を納めた黄金の棺がひときわ輝きを放ちます。
紆余曲折を経て完成したゴシック建築の最高峰にして、600年以上途切れることのなかったドイツの
人々の篤い信仰心の象徴でもある大聖堂には、年間数百万人もの巡礼者が訪れます。





東方三博士の聖遺物(遺骨)を納めた黄金の棺


東方三博士が描かれた絵(左)
幼子イエスの両側にひざまずく2人と、右側の博士の後方にいる人が東方三博士です。


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