1,738年、ドイツ南部の小さな村でのことです。
シュタインガーデン修道院の修道士が彫った「鞭打たれるキリスト」の木像をマリアという農婦がもらい受け、
祈りを捧げていたところ、6月14日になって、このキリストの像が涙を流したと言います。
この噂を聞きつけた人々が、マリアの家に押し寄せたため、1,740年にこのキリスト像を牧草地の小さな礼拝堂に移しました。
しかし、巡礼者は増える一方でした。そこでシュタインガーデン修道院が先頭に立ち、一般からの浄財を募るなどして
資金を捻出し、1,746年に新たに教会が建てられました。これが後に、世界遺産に登録されたヴィースの巡礼教会です。
教会の設計は、当時ドイツ・ロココ様式の完成者として高名であったドミニクス・ツィンマーマンで、
それまでにも数多くの建築を手がけていた彼は、この教会に特別な愛情と情熱を傾け、
完成後もこの教会から離れることなく、すぐ近くに居を移し、亡くなるまでこの教会を見守り続けたといいます。
ヴィース(ドイツ語で草原)の名のごとく、外観は質素な佇まいの教会ですが、ロココ様式の内部の
装飾は、ヨーロッパ随一と言われ、特にその天井画は「天から降ってきた宝石」とも讃えられています。








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